獣医師の年収はどのくらい?開業獣医師と勤務獣医師では年収が違う?

Column

2022年10月21日

獣医師として働いている方の中には、自分の年収は適切な額なのか周りの獣医師の年収はどのくらいなのかが気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。獣医師の働き方はさまざまであり、勤務する場所によって年収も変わります。
そこで今回は、獣医師の平均年収と勤務先ごとの獣医師の年収について解説します。転職や開業を考えている場合には、ぜひ参考にしてください。

獣医師の平均年収はどのくらい?

厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によると、獣医師の平均年収は36.1歳で592.1万円です。
一方、国税庁が行った民間給与実態統計調査によると、民間企業に勤める人の平均年収は436万円となっています。この金額と比較すると、獣医師の平均年収は一般よりも高いことがわかります。
この592.1万円という額は、あらゆる職場で働く獣医師の年収を集計して平均額を算出したものです。獣医師の資格を活かして活躍できる場は多岐にわたっており、どのような職場においても36.1歳時点で592.1万円の年収が平均的であるということではありません。は、勤務獣医師が働く場所にはどのようなものがあるのでしょうか。

獣医師が活躍している場所

獣医師が活躍している場所 には、主に次のようなものがあります。

・動物病院
動物病院では、ペットとして飼われている犬や猫などの病気やケガの治療、病気の予防のための健康診断や検査などを行っています。動物病院の規模もさまざまで、 獣医師が開業した小規模のクリニックもあれば、複数人の獣医師が勤務している大規模な病院もあります。動物病院で働く獣医師には開業して院長となっているケースや動物病院に雇われて勤務獣医師として働くケースがあります。

・動物園や水族館
獣医師の中には、動物園や水族館で働く人もいます。施設内で飼育している動物・魚の健康管理や病気の 治療に携わります
さまざまな大きさ、 種類の動物・魚を飼育しているため、動物園や水族館の獣医師として働く場合には、幅広い知識が求められます。動物園や水族館の中には、自治体が運営しているものもあり、公立の動物園や水族館で働く獣医師は、地方公務員として勤務することになります。

・民間企業
製薬会社や飼料関連会社、ペットフード関連会社、動物用のワクチンの審査を行う会社、感染症の予防法などを研究する会社、ペット保険の会社など、民間企業でも獣医師の資格と知識を活かして働いている獣医師がいます。
民間企業に務める獣医師の業務内容は研究開発職から営業職、品質管理などさまざまです。

・団体職員
農業協同組合や農業共済協会などに所属し、産業動物臨床獣医師として働く人もいます。産業動物臨床獣医師の業務には、家畜の病気の治療や予防、飼育農家への飼育方法や衛生管理の方法などの指導、家畜の伝染病が流行した場合の防疫対応などがあります。

・公務員
獣医師の資格を活かして公務員として働く場合、国の施設で働く国家公務員と地方自治体で勤務する地方公務員の2つがあります。
国家公務員の場合は、農林水産省と厚生労働省での仕事があり、公衆衛生や食品衛生の仕事に従事します。勤務先は農林水産省や厚生労働省の本省のほか、動物医薬品検査所、動物検疫所などがあります。
一方、 地方公務員の場合、各都道府県・市町村の職員として本庁や食肉衛生検査所、家畜保健衛生所、畜産・林業・水産試験場などで公衆衛生や家畜衛生の業務に携わります。また、自治体が運営する動物病院や水族館などがある場合は、動物病院・水族館で臨床獣医師として 働くことになります。

働く場所・働き方によって獣医師の年収はどう変わる?

獣医師の活躍する場所は幅広く、担当する業務にも幅があるため、どのような場所でどのような仕事を行うかによって年収も変わってきます。
先にご紹介した勤務場所ごとに、獣医師の平均的な年収をご紹介します。

・動物病院を開業した獣医師の場合
独立・開業して動物病院を運営している獣医師の平均年収は、600万円~ 800万円程度だと言われています 。先ほど紹介した獣医師の平均年収の592.1万円に比べると高いことがわかります。

・動物病院の勤務獣医師の場合
動物病院に雇われ、勤務獣医師として働く方の場合、平均的な年収は約300万円~ 350万円程度だと言われています。
勤務獣医師として働く方の場合、大学を卒業したばかりの若い獣医師の割合が多くなっています。まずは動物病院で経験を積みたいという若い獣医師が多いことから、勤務獣医師の平均年齢は低く、平均年収も低めになっているようです。ただし、年収は勤務先の動物病院によっても異なり、臨床の経験を積んでいけば年収も上がっていくため、勤務獣医師の年収が一概に低いということではありません。

・動物園や水族館で働く獣医師の場合
動物園や水族館で働く獣医師の場合、民間企業が が運営する施設であるか、地方自治体が運営する施設であるかによって年収は変わります。公務員の場合は、地方自治体が定める年収に準じますが、民間の動物園・水族館の獣医師の年収は400万円~450万円程度だと言われています。

・民間企業で働く獣医師の場合
民間企業に勤務する獣医師の平均年収は600~800万円程度だと言われています 。民間企業の場合、会社の規模によっても年収は異なり、規模の大きい企業ほど年収は高い傾向にあります。

・公務員として働く獣医師の場合
公務員として働く場合、年収は、国家公務員であるか地方公務員であるかによっても異なります。国や勤務先自治体が定める給与水準に従う形となりますが平均年収は400万円~600万円程度だとされています 。

獣医師の年収は、勤務先や業務内容で変わる

今回は、獣医師の平均的な年収についてご紹介しました。
転職を考える場合には、年収は転職先を決める重要な判断基準の一つとなるでしょう。しかし、年収だけで転職先を決めるわけではないはずです。転職をする際には、年収と業務内容、休日や残業の有無など、勤務条件等を見比べながら納得できる職場を選ぶとよいのではないでしょうか 。お住まいの地域における具体的な求人情報を知りたい場合には、人材紹介会社を利用するのもおすすめです。求人サイトには掲載されていない、人材紹介会社が独自に取り扱っている求人の紹介も受けられる可能性があります。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。