獣医師の仕事内容とは。獣医師の業務をわかりやすく説明!

Column

2022年2月28日

獣医師の仕事内容は幅広く、働く場所によって獣医師はさまざまな業務に従事しています。犬や猫、鳥類などのペットの診察・治療を行う動物病院から、牛や豚などの家畜の健康管理、動物園や水族館で飼育されている動物の診療や健康観察、伝染病の予防や食品の衛生管理、など獣医師は多方面で活躍をしています。
今回は、幅広い分野で働く獣医師の仕事内容についてまとめました。

動物病院で働く獣医師の仕事内容


獣医師と聞くと真っ先に思い浮かぶ姿は、動物病院で働く獣医師ではないでしょうか。動物病院では、犬や猫、小鳥、爬虫類などペットの診察をします。ペットの種類やライフスタイル、年齢に応じたワクチンの接種や健康診断などを行い、ペットの健康を管理し、病気を未然に防ぎます。
また、元気のない動物や病気になってしまった動物、けがをしてしまった動物の診察を行い、必要な検査や治療法を飼い主に説明し、手術や薬の処方などを行います。そのほか、飼い主から動物の飼い方やしつけの相談を受け、指導を行うこともあります。

産業動物分野で働く獣医師の仕事内容

産業動物分野で働く獣医師は、食肉衛生検査所や家畜保健衛生所、畜産試験場などで、牛や豚、鶏などの家畜の健康管理を行います。具体的にはワクチン接種による伝染病の予防、動物用医薬品の安全性を確保するための試験や医薬品の製造、動物の検疫、食品の安全性確保のための検査などに携わります。また、家畜が病気になってしまった場合には、診療や治療を行います。
そのほか、人工授精や受精卵の移植技術を用いて、品種の改良や家畜の繁殖に関わる業務に従事する場合もあります。

動物園で働く獣医師の仕事内容

動物園で働く獣医師は、動物園で飼育されている多種多様な動物たちの健康管理が仕事となります。飼育している動物を見回って様子を確認し、体調を崩した動物やけがをしている動物がいれば、検査や治療を行います。大型の動物の治療には麻酔が必須であり、動物の種類や大きさなどを考慮しながら、適切な麻酔の量を検討し、吹き矢を使って麻酔を打って眠らせた後、治療を行います。
動物の爪を切ったり、皮膚を消毒したりなど、飼育員と相談しながら動物の身体のケアも行うほか、血液検査などの健康診断も行います。加えて、動物の健康管理を行うために糞尿の検査を行って寄生虫の有無や食べ物の消化状況を確認することも、獣医師の仕事です。そのほか、動物の出産に立ち会いをすることや亡くなった動物の解剖を行い死因の調査をすることもあります。

水族館で働く獣医師の仕事内容

水族館でも獣医師が活躍しています。水族館で働く獣医師は、館内で飼育しているイルカやアシカ、アザラシ、ペンギンなどの海獣と魚の健康管理を行います。また、水族館で働く獣医師は飼育員も兼務していることが多く、魚や海獣の餌作りや掃除なども行っています。

海獣や魚は細菌による感染症を発症することが多く、感染症を防ぐための予防措置として清潔な環境を維持し、定期的な健康チェック、治療を行います。また、動物園の獣医師と同様に、海獣の出産に立ち会ったり、亡くなってしまった動物の解剖を行って死因の調査も行います。その他、近隣の海などに打ち上げられた海獣の治療や絶滅危惧種の研究・繁殖などにも関わっています。

製薬会社で獣医師の資格を活かして働く仕事

製薬会社で働く獣医師は、人や動物用の医薬品の研究開発に従事しています。

製薬会社には、医薬品の有効性や安全性などを研究する獣医師、創薬研究に必要な遺伝子工学や生命科学に関する実験関連業務に従事する獣医師がいます。

保険会社や臨床試験を担う企業で働く獣医師の仕事

最近では、ペットの万一の病気やけがに備えて、ペット保険に加入する人も少なくありません。

そのためペット保険を扱う保険会社で保険金の支払い事務などに関わる仕事や獣医師としての知識を活かして社内教育を担当するケースもあります。また、保険会社が提携している動物病院で獣医師として働くケースもあります。

そのほか、医薬品の臨床試験を受託する機関(CRO)でも獣医師が活躍しています。CROでは飼育や管理に関連する業務、医薬品の治験業務などに携わります。

獣医師の仕事内容は、働く場所によってさまざま

獣医師の資格を活かして働くことができる場所は、多方面にわたっています。動物病院でペットの健康管理や病気・けがの治療を行う獣医師から、製薬企業で創薬の研究に携わる獣医師など、勤務する場所によって獣医師の仕事内容はさまざまです。しかし、そのすべての仕事は動物や人の健康を守ることにつながっていると言えます。
獣医師の資格を所有しているということは、動物に関連するさまざまな知識を保有しているということでもあり、獣医師は高い専門性を活かして幅広い分野で活躍できることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。