【2024年版】動物病院だけじゃない、獣医師の働き方

Column

2024年8月15日

獣医師の仕事は多岐にわたり、その働き方やキャリアパスも様々です。今回は、コラム記事やアニジョブプラスの情報を基に、獣医師の働き方や仕事内容について詳しく解説します。これからキャリアチェンジを考えている方や、これから獣医師を目指す方は参考になさってください。

1.動物病院で働く


獣医師と聞くと真っ先に思い浮かぶ姿は、動物病院で働く獣医師ではないでしょうか。動物病院では、犬や猫、エキゾチックアニマル(ハムスターやウサギなどの哺乳類や鳥類、爬虫類)などペットの診察をします。ペットの種類やライフスタイル、年齢に応じたワクチンの接種や健康診断などを行い、ペットの健康を管理し、病気を未然に防ぎます。また、元気のない動物や病気になってしまった動物、けがをしてしまった動物の診察を行い、必要な検査や治療法を飼い主様に説明し、手術や薬の処方などを行います。その他、飼い主様から動物の飼い方やしつけの相談を受け、指導を行うこともあります。

3つの特徴

(1) 幅広い診療科目と業務内容
動物病院の獣医師は、一般診療から緊急 手術、予防接種、健康診断まで、幅広い業務を担当します。動物の種類や病気の種類も多岐にわたるため、総合的な知識とスキルが求められます。また、飼い主様とのコミュニケーションも重要な業務の一部です。飼い主様に対する治療方針の説明や、ペットの健康管理に関するアドバイスを行います。

(2) 継続的なスキルアップと専門性の追求
動物医療の分野は日々進化しており、新しい治療法や診断技術が次々と登場します。動物病院の獣医師は、継続的な学習とスキルアップが欠かせません。また、最近では特定の分野に特化した専門病院も増えており、皮膚科、腫瘍科、外科、神経科などの専門性を追求する獣医師も多くいます。

(3) 病院を通じた人との繋がり
長期間同じ動物病院で勤務していると、治療業務だけでなく利用者や病院周辺の地域の方との繋がりが持てることも大きな特徴でしょう。またキャリアを積み上げれば病院のスタッフの管理や教育、病院の経営戦略の立案、機材の導入などを任される機会も増えていきます。運営に関与することで、病院全体の運営に対する理解とスキルも身につけることができます。

年収相場

350万円 ~ 750万円
経験や技術に応じて年収は高くなる傾向があります。

必須資格

獣医師免許

獣医師の年収に関する詳細はこちら

2.動物園で働く


動物園で働く獣医師は、動物園で飼育されている多種多様な動物たちの健康管理が仕事となります。飼育している動物を見回って動物たちの様子を確認し、体調の悪そうな動物やけがをしている動物がいれば、検査や治療を行います。治療の内容によっては麻酔が必要であり、動物の種類や大きさなどを考慮しながら、適切な量の麻酔や鎮静剤を使用して眠らせた後、治療を行います。
動物の爪を切ったり、被毛手入れをしたりと、飼育員と相談しながら動物の身体のケアも行うほか、血液検査などの健康診断も行います。加えて、動物の健康管理を行うために糞尿の検査を行って寄生虫の有無や食べ物の消化状況を確認することも、獣医師の仕事です。そのほか、動物の出産の立ち会いや亡くなった動物の解剖を行い死因の調査をすることもあります。また珍しい動物の治療には、より専門的な知識とより高度な技術が求められます。

3つの特徴

(1)動物の病気を未然に防ぐ

動物園獣医師の重要な役割の一つは、動物の病気を未然に防ぐことです。野生動物は体調が悪くてもその症状を隠すことが多いため、定期的な健康診断やワクチン接種、皮膚ケア、サプリメントの投与などを行い、病気の予防に努めます。大型動物や獰猛な動物の治療にはリスクが伴うため、予防措置が特に重要です。

(2)繁殖支援

動物園には絶滅の恐れがある動物も多く、種の保存のための繁殖支援も動物園獣医師の重要な業務の一つです。飼育環境やエサの見直し、繁殖のサポートを行い、動物が快適に過ごせる環境を作り出します。

(3)自然保護啓発活動

動物園を訪れる来園者に対して、動物についての教育活動やイベントを実施し、自然保護の重要性を伝えることも重要な役割です。

年収相場

400万円~450万円

必須資格

獣医師免許

動物園獣医師に関する詳細はこちら

3.公務員獣医師として働く


公務員獣医師の仕事内容は多岐にわたります。
国家公務員獣医師は、厚生労働省や農林水産省に勤務し、食品安全対策、感染症対策、動物検疫、動物医薬品の検査などを担当します。具体的には、食中毒の防止、残留農薬の検査、狂犬病や鳥インフルエンザなどの動物由来感染症の予防策を講じます。
地方公務員獣医師は、各自治体の家畜保健衛生所や保健所、食肉衛生検査所、動物愛護センターなどに勤務し、産業動物の疾病予防、食肉検査、食品の安全管理、飼い主様が不明の動物の保護、動物取扱業者への適正な動物管理の指導などを行います。これにより、公衆衛生の維持、食の安全確保、人と動物の健康保護に寄与しています。
公務員獣医師は、動物の健康と人々の生活の安全を守る重要な役割を果たしており、社会に大きな貢献をしています。

3つの特徴

(1)公共の安全と衛生を守る仕事
公務員獣医師の仕事は、食品や公衆衛生に関わるため、社会全体の健康と安全を守る重要な役割を担います。家畜の疾病予防や動物由来の感染症対策など、公共の安全を守るための業務に従事することで、大きな責任感とやりがいを感じることができます。

(2)動物愛護と保護活動
動物愛護管理法に基づき、動物の福祉と保護を推進します。動物の虐待や遺棄の防止、適正飼育の指導、動物保護施設の運営などを行います。また、動物の所有者に対して適切な飼育方法を教育する活動も含まれます。

(3)安定性
公務員獣医師は、安定した収入と充実した福利厚生が魅力です。週休2日制が基本で、規則的な勤務時間が設定されており、残業も比較的少ない傾向にあります。さらに、産休育休制度や育児休業制度なども整っており、家庭と仕事を両立しやすい環境が整っています。

年収相場

平均600万円(国家公務員獣医の場合平均660万円)

必須資格

獣医師免許
公務員獣医師は専門分野によっては業務が多岐に渡るため、獣医師免許だけでなく職種にあった資格や知識を身につける必要があります。

公務員獣医師に関する詳細はこちら
「公務員獣医師に転職したい!知っておきたい現状や公務員獣医師への転職を成功させるコツを紹介」
「公務員獣医師の年収は平均いくら?就職先別に調査」



まとめ

獣医師のキャリアには様々な選択肢があり、それぞれに独自の特徴と年収があります。各分野で専門性を発揮し、動物と人々の健康を支えています。基本的にはどの職業であっても獣医師資格があればチャレンジ可能となっています。獣医師資格を活かして、今までと全く違う仕事に転職してみてはいかがでしょうか。
アニジョブでは、獣医師の方向けに幅広い転職先をご紹介しています。ぜひこの機会に、アニジョブをのぞいてみてください。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。