一般企業で働く獣医師とは?就業先や仕事内容の例を紹介
Column
2024年6月25日

獣医師が働く場所といえば、動物病院を思い浮かべるケースが多いでしょう。しかし、獣医師が活躍できる分野は幅広く、一般企業で働く方も少なくありません。
そこで今回は、獣医師が一般企業で働く場合の就業先や仕事の内容などについてご紹介します。
獣医師が一般企業で働く場合の仕事内容
獣医師が一般企業で働く場合は、次のような就業先に勤務するケースが多くなっています。
それぞれの勤務先での仕事内容をご紹介します。
製薬会社での仕事内容と平均年収
製薬会社は、獣医師の就業先として選ばれることが多い業種です。獣医師は、薬理学や病理学、公衆衛生学、伝染病学などの専門的な知識を持っていることから、毒性の研究や薬理研究などに携わる場合が多くなっています。また、人用の医薬品だけでなく、動物用の医薬品の研究開発に関わるケースもあります。製薬会社の獣医師の場合、平均的な年収は600~800万円程度です。
また、製薬会社ではありませんがペット用品やペットフード会社などの一般企業で、開発業務などに従事する獣医師もいます。
化粧品会社での仕事内容と平均年収
化粧品会社も獣医師の就職先の1つです。化粧品会社では、獣医師は商品の安全性の試験や臨床試験などに関わるケースが多くなっています。化粧品会社の研究職の給与は企業規模によって異なり、大規模な企業ほど年収は高くなる傾向にあります。化粧品会社の規模や勤務年数などによっても変わってきますが、研究職の平均的な年収は600万円~1,000万円程度になるでしょう。
保険会社での仕事内容と平均年収
動物病院での診療は人間の診療のように健康保険が適用されないため、ペットを対象とした保険に加入する飼い主様も増加しています。ペット向けの保険を販売している会社も獣医師が活躍する場所です。保険会社では、獣医師としての知識と経験を活かし、ペット医療保険の保険金の請求内容の精査や動物病院への問い合わせ、飼い主からのペットの健康相談、社内研修などの業務に対応します。
ペット関連の保険会社の年収は約300~600万円です。
獣医師が一般企業で働くメリット
次に、獣医師が動物病院ではなく、一般企業で働く場合に得られるメリットをご紹介しましょう。
残業が少ない
全ての動物病院で残業があるわけではありませんが、人気があり、患者数の多い動物病院に勤務している場合などは、残業が多い傾向にあります。
一般企業の場合、就業時間が明確に決められており、働き方改革の実施に伴って残業を減らす取り組みをしているところが多くあります。そのため、一般企業の場合は、動物病院に比べると残業が少ない可能性が高くなるでしょう。
年間休日が多い
一般企業のほとんどが、土曜・日曜・祝日を休みとする完全週休2日制です。動物病院の場合は、週休2日制ではあるものの祝日に診療しているケースも多く、祝日がある場合には祝日も含めて週に2日の休みになるケースが少なくありません。このような理由から、一般企業では動物病院に勤務する場合に比べて年間休日が多くなるといえます。
プライベートの時間を確保しやすい
残業が少なく、年間休日が多ければ、その分プライベートな時間を多く確保できます。また、一般企業では、動物病院のように急患のために休日出勤が必要になったり、急な休みが必要となったスタッフの代わりに出勤が必要になるケースもありません。プライベートな時間を確保しやすい点も一般企業で働くメリットでしょう。
獣医師が一般企業で働くデメリット
一般企業で働く場合、メリットだけでなくデメリットもあります。動物病院の獣医師として働く場合と比べたデメリットは次のようなものです。
基本的には土日休み
一般企業の場合、ほとんどは平日に出勤となり、土日は休みとなります。土日はどこも混雑していることが多く、旅行などに行く場合も土日の料金は高めに設定されています。これまで平日の休みを有効に活用していた方にとっては、土日休みがデメリットに感じる場合もあるでしょう。
動物と触れ合う機会が減る
一般企業では、動物病院の獣医師のように動物に触れる機会は多くはありません。動物と触れ合う時間を長く求めたいと考えている獣医師の方にとっては、直接的に動物と接することのない一般企業の仕事は物足りないと感じる可能性があるでしょう。
オフィスワークの作法を覚えなければいけない
オフィスワークでは、社内外の人と電話やメールなどでやり取りをします。また、報告書などを作成する機会も増えるでしょう。ビジネス文書を作成する際の言葉の選び方や書式のルールなど、動物病院勤務時とは異なるオフィスワークの作法を学ばねばならない点をネガティブに感じる方もいるでしょう。
まとめ
獣医師の中には、製薬会社や化粧品会社、ペット保険の会社など、一般企業で活躍している方もいます。一般企業は土日休みのことが多く、年間休日が増え、残業も減るといったメリットもありますが、動物病院のように動物に触れる機会は少なくなります。就業の条件面だけでなく、一般企業で獣医師の資格や知識を活かして働くことが自分に合っているのか、業務内容もしっかり確認したうえで、就職先や転職先は選ぶことをおすすめします。
この記事の監修者

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。