トリマーとして開業するには?必要な資格や資金の目安などを解説
Column
2023年10月16日
トリマーは技術を身に付ければ、独立し、自宅などを活用してトリミングサロンを開業することができます。しかし、トリマーが開業する場合には、資格は要らないのでしょうか。
今回は、トリマーとして開業する際に知っておきたい必要な資格や開業資金の目安などについてご説明します。
トリマーとして独立・開業するために必要なものは?
トリマーのとして独立・開業するためには、次のような準備が必要になります。
動物取扱責任者の資格
トリミングサロンを開業するためには「第一種動物取扱業」としての登録申請が必要になり、第一種動物取扱業の申請には「動物取扱責任者」の資格が必要になります。自治体が主催する動物取扱責任者研修を受講すると、動物取扱責任者の資格を得られますが、動物取扱責任者になるには、次のいずれかの要件を満たさなければなりません。
・獣医師
・愛玩動物看護師
・半年以上の実務経験または1年以上の飼養経験があり、専門知識について1年間以上教育する学校を卒業
・半年以上の実務経験または1年以上の飼養経験があり、公平性・専門性のある団体が認定する資格を有していること
トリマーの場合は、専門学校卒業後にトリマーとして半年以上の実務経験があれば、動物取扱責任者の資格取得要件を満たすこととなります。また、トリマーとしての実務経験が半年以上あり、指定された資格を取得している場合も動物取扱責任者として登録が可能です。
第一種動物取扱業登録の届出
動物取扱責任者の資格を取得したら、開業予定の自治体に第一種動物取扱業の登録申請をします。第一種動物取扱業は7つの種別に分けられており、トリミングサロンは「保管」に該当します。第一種動物取扱業の登録は、営業開始前に行う必要があるため、トリミングサロンを開業する前に登録手続きを済ませませしょう。登録には、申請手数料(15,000円程度)と第一種動物取扱業登録申請書、動物取扱責任者の資格要件を満たす書類等の提出が必要になります。
開業届の提出
トリマーが開業する場合には、法人を設立するのではなく、個人事業主として事業を開始することが一般的です。個人事業主の開業の際には、税務署に個人事業の開業届を行う必要があります。また、同時に所得税の青色申告承認申請書を提出すると、確定申告時に青色申告ができます。提出期限は開業から1ヶ月以内となっているため、忘れないように提出するようにしましょう。
開業資金
トリマーが開業する時に必要となる資金は、どこで開業するのかによっても変わります。自宅の一部を改装して開業する場合には費用を抑えられますが、テナントを借りて内装や設備も整える場合は資金も多く必要になります。また、物件を借りる場合は半年分ほどの運転資金も準備する必要があるため、トリマーの開業資金の目安は100万円~1,000万円程度ほどと、幅のある金額になります。
トリマーとして独立・開業した時の営業形態
トリマーとして開業した場合の営業形態には、大きく分けて次の4つのパターンがあります。
店舗型サロン
テナントを借りて開業するスタイルです。人通りの多い場所などに出店すれば、集客がしやすいというメリットがあります。
自宅サロン
自宅の一部を改装し、サロンとして開業する方法もあります。家賃が不要となるため、経費を抑えることができます。
併設型(シェア)サロン
ペットショップや動物病院などに併設する形で開業するパターンです。ペットショップや動物病院を訪れた人が利用する可能性が高いため、集客の面で利点があります。
出張・訪問型サロン
飼い主様の自宅等に訪問してトリミングをする出張・訪問型のトリマーとして活動する人もいます。店舗が不要のため、開業費用や月々の固定費が抑えられるというメリットがあります。
トリマーとして独立・開業する流れ
トリマーとして独立・開業する際には次のような流れで手続きや準備を進めます。
事業内容や予算を決める
どのような形で事業を行うのか、事業の内容や予算を決定します。
開業場所を探す
次に、自宅で開業するのか、店舗を借りるのか、開業場所を決め、店舗を借りる場合には場所を探します。
必要な届出を提出する
個人事業主の開業届や第一種動物取扱業の登録など、必要な届出を済ませます。
集客を始める
すべての準備が整ったら集客を開始し、営業を始めます。
顧客情報を管理する
営業を開始したら顧客情報をしっかり管理し、リピーターを獲得できるように頑張りましょう。
トリマーが力を入れたい集客方法
開業をしても、集客ができなければ経営状態は悪化します。開業後は、しっかりと集客をすることが大切です。おすすめの集客方法をいくつかご紹介します。
ホームページにサービスやコンセプトを記述する
ウェブ媒体は有効な集客手段です。ホームページにサービス内容やコンセプトなどを分かりやすく記載し、信頼できるペットサロンであることやトリマーとしての実績をアピールしましょう。
InstagramやX(旧Twitter)で情報発信する
SNSも集客手段として活用できます。トリミングをしている様子やトリミング後の姿をアップすれば、イメージが付きやすく、集客につながる可能性があります。
Googleビジネスプロフィールを活用する
Googleビジネスプロフィールに登録すると、Google検索やGoogleマップの結果に店舗の情報が表示されます。無料で利用できますので、上手に活用しましょう。
トリマーの独立・開業で失敗しないためのポイント
トリマーが独立・開業した場合、必ず成功するわけではありません。失敗を避けるためには次のポイントに気を付けましょう。
ライフスタイルに適した営業形態を選ぶ
トリマーが独立する場合は、自宅の一部を改装して店舗を開く方法や店舗を借りる方法など、さまざまな営業形態があります。それぞれにメリットもデメリットもあるため、自分のライフスタイルに合ったスタイルを見極め、開業することが大切です。
実務を通して知識とスキルを習得する
トリミングサロンを開業するには、動物取扱業の資格が必要となり、その場合は資格や半年以上の実務経験が必要になります。顧客から信頼を得る受ける ためにも、学校を卒業してすぐに独立するのではなく、実務を通して十分な知識とスキルを習得してから開業するようにしましょう。
差別化を図れるような発信を意識する
ペットサロンは数多くあり、その中から顧客に選んでもらうためには、他のサロンとの差別化が必要です。ターゲットを絞り、おすすめの食品やシャンプー等の情報を提供するなどし、ライバル店と差別化を印象付けできる独自の情報発信を続けましょう。
円満退職を心がける
開業する際に前職と近い場所で開業すると、前職とライバル関係になり、顧客の引き抜きなどを疑われ、トラブルに発展するケースもあります。開業する時には円満退職を心がけ、前職の店舗と良い関係を続けられるように配慮しましょう。
なるべく共同経営を避ける
複数の人で共同経営をすると、事業の方向性などについて意見がまとまらなくなり、経営に失敗してしまう場合があります。一人で運営すれば、経営にも自分の考えを反映できるため、できるだけ共同経営は避け、一人で運営することをおすすめします。
まとめ
トリマーとして知識と技術を身に付ければ、独立・開業して自分の理想とするペットサロンを開くことができます。ペットサロンを開業する場合には、第一種動物取扱業の登録が必要であり、そのためには動物取扱責任者の資格を取らなければなりません。
また、必要となる開業資金はどのような営業形態で開業したいのかによって大きく変わります。トリミングサロンを開業する際には、どのようなコンセプトでどのようなスタイルで開業したいのかをしっかりと考え、開業資金を含めた開業の準備を計画的に進めるようにしましょう。