公務員獣医師の年収は平均いくら?就職先別に調査

Column

2024年6月24日

公務員獣医師として働くには、地方公務員として勤務する方法と国家公務員として勤務する方法があります。公務員獣医師は、働く場所によって年収が変わるのでしょうか。
今回は、公務員獣医師の年収を就業先別にご紹介します。

公務員獣医師の種類と仕事内容

公務員獣医師の年収をご紹介する前に、公務員獣医師の種類や業務内容などについてご説明しましょう。

地方公務員獣医師の仕事内容
地方公務員獣医師として働く場合、家畜保健衛生所や畜産試験場などの畜産関係の部署や食肉衛生研究所、保健所、衛生環境研究所、動物愛護センターなどの福祉保健関係の部署に配属されることが多くなります。
畜産関係の部署に配属された場合は、家畜伝染病の診断や感染予防・蔓延防止対策の実施、生産性向上のための研究などの業務に従事します。福祉保健関係の部署で勤務する場合には、配属される場所によって食肉検査や食品の安全検査、食品加工場への衛生指導などを行って食の安全を管理したり、飼い主様が不明の犬や猫の保護、動物取扱業者に対しての適正な動物管理の指導を行ったり、幅広い業務に対応します。
また、自治体が動物園や水族館を運営している場合には、動物園・水族館で働く獣医師もいます。

国家公務員獣医師の仕事内容
国家公務員獣医師として働く場合、厚生労働省または農林水産省に入省することになります。
厚生労働省に勤務する獣医師は獣医系技官として、食品安全対策を中心とした公衆衛生分野の業務に携わります。具体的には食中毒や残留農薬、遺伝子組み換え食品の対策などです。また、狂犬病や鳥インフルエンザ等、動物由来の感染症対策にも獣医系技官が関わります。
一方、農林水産省に勤務する場合は「獣医系技術職員」または「畜産系技術職員」として勤務します。本省や地方農政局などでの食糧を安定して供給するための政策の企画、家畜改良センターなどでの家畜の改良に関わる業務、動物検疫所での検疫、動物医薬品検査所などでの動物用医薬品等の審査業務など、幅広い業務に携わることとなります。

公務員獣医師の年収は平均いくら?

では、地方公務員獣医師、国家公務員獣医師の年収はどのくらいになるのでしょうか。それぞれの平均的な年収をご紹介します。

地方公務員獣医師の年収
地方公務員の場合、職務によって異なる給料表が適用され、獣医師の場合は「薬剤師・医療技術職7」の区分に該当します。総務省が公表している「令和4年地方公務員給与の実態」によると、地方公務員獣医師が属する「薬剤師・医療技術職7」の平均給与月額の合計は392,810円です。また、人事院による令和4年の給与勧告では、国家公務員の賞与は年間4.4ヶ月分ほどの支給とされています。地方公務員も国家公務員に準じる傾向があることから、同等の賞与が支給されていると考えられます。
これらを勘案すると、地方公務員獣医師の平均年収は600万円程度になるでしょう。ただし、この数字は地方公務員獣医師全体の平均年収であり、勤務する自治体や所属する級によって年収は変わってきます。

国家公務員獣医師の年収
農林水産省や厚生労働省の職員となる国家公務員獣医師の場合、給与は行政職俸給表(一)に該当します。人事院が公表している「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、行政職俸給表(一)の平均給与月額は405,049円です。前述のとおり、賞与が4.4ヶ月分の支給とすると、国家公務員獣医師の平均年収は660万円程度だと考えられます。

他の公務員と年収を比較


地方公務員獣医師と国家公務員獣医師の平均年収をご紹介しましたが、他の公務員の職種ではどの程度の年収なのでしょうか。それぞれの平均年収を「令和4年地方公務員給与の実態」及び「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」からご紹介します。

警察官
地方公務員である警察官は、警察職に該当します。令和4年地方公務員給与の実態によると、警察職の平均給与月額は465,679円で、平均年収は約720万円です。

消防士
消防士も地方公務員に該当します。令和4年地方公務員給与の実態による消防士の平均月額給与は403,520円で、平均年収は約630万円です。

自衛隊
自衛官は国家公務員に該当し、自衛官俸給表で給与が定められています、自衛官の平均年収は、階級や号俸によって異なりますが、30代で約500万円、40代で約600万円、50代で約700万円と言われています。

労働基準監督官
厚生省の国家公務員である労働基準監督官の給与は国家公務員獣医師と同じ、行政職俸給表(一)が適用されます。したがって、労働基準監督官の平均年収は国家公務員と同じ660万円程度です。

入国警備官
法律に違反する外国人に対して厳正な対処を行う入国警備官は、法務省に属する国家公務員です。入国警備官の給与は公安職俸給表(一)が適用され、平均給与月額は379,615円であり、平均年収は600万円程度です。



まとめ

公務員として公衆衛生や家畜衛生に関わる業務に就きたいと考えている方や、公立の動物園や水族館で獣医師として働きたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
令和4年の調査によると地方公務員獣医師の平均年収は約600万円、国家公務員獣医師の平均年収は約650万円となっています。他の公務員職と比べても、公務員獣医師の年収は決して低いわけではありません。
公務員獣医師として働く場合には公務員試験に合格する必要がありますが、地方によっては獣医師不足から試験が不要なケースもあります。 公務員獣医師を目指す場合は、入職を希望する省庁や地方自治体の募集要項をしっかり確認するようにしましょう。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。