アレルギー持ちの人が獣医師として働くには?注意点や勤務先の例を解説
Column
2023年6月5日

犬アレルギーや猫アレルギーなど、動物に対してアレルギー症状を持つ人がいます。では、アレルギー持ちの人が獣医師として働くには、どうすればよいのでしょうか。
今回は、動物に対してアレルギー症状が出る人が獣医師として働く際の注意点と勤務先の例をご紹介します。
アレルギー持ちでも獣医師になれる?
アレルギー持ちの方が、獣医師になることは可能です。しかしながら、アレルギー症状が悪化してしまう恐れもあるため勤務先や業務内容は慎重に検討することが重要になります。
アレルギー持ちの獣医師も存在する
日本では、全人口の約2人に1人が何らかのアレルギーを持っているといわれています。アレルギー持ちの人の中には、動物に対するアレルギーを持つ人もおり、当然ながらアレルギー持ちの獣医師も存在します。
アレルギー体質の人は、初めは全く症状が出なくても、動物に触れているうちに症状が出る可能性があります。そのため、アレルギーがあるのを承知で獣医師になった人もいれば、獣医師として働くうちにアレルギー症状が出てきてしまった人もいるでしょう。
アレルギーが悪化する恐れもあるので要注意
アレルギー持ちでも獣医師として働くことはできますが、仕事で犬や猫に触れる時間が増えるとアレルギー症状が悪化する場合があります。犬アレルギーや猫アレルギーのアレルゲンは、皮脂や唾液、フケなどに含まれる物質です。そのため、シャンプーをあまりしていない犬や猫の診察をした場合などは、アレルギー症状が現れやすく、重症化すると呼吸困難を招く可能性もあるため注意が必要となります。
ペットとして飼うのであれば、アレルギーが起きにくい種類を選んだり、こまめにシャンプーをしたり、アレルギーを起こしにくい状況を整えることができます。しかし、仕事となるとさまざまな種類、さまざまな環境で飼育されている犬や猫に触れることになるため、なかなかアレルギー対策をするのは難しいのが現実でしょう。
アレルギー持ちの人が獣医師として働く時のポイント
アレルギー持ちの人が獣医師として働く際には、アレルギー症状が出ることで職場に迷惑をかけてしまう場合や、症状悪化により自分自身が危険な状態になってしまう可能性があります。アレルギーに不安のある人が獣医師として働く際には、次の点に気を付けるようにしましょう。
1.アレルギー持ちであることを伝える
アレルギー症状は、疲れている時などに悪化しやすくなります。仕事に支障がない程度で済んでいた場合でも、場合によっては急激に悪化し、業務中にひどい症状が現れる可能性もあります。
万が一の時には救急車の手配が必要になる可能性もあるため、職場にはアレルギー持ちであることを事前に伝えておくようにしましょう。
2.研究分野などの業界で働く
獣医師の資格や知識を活かせる職場は動物病院だけではありません。動物用医薬品の研究や動物や人間に感染するウイルスの研究など、直接アレルギーの原因となる動物に触れずにできる仕事もあります。また、バイオテクノロジーを活用した動物の繁殖を研究する業務もあります。アレルギー持ちの場合は、臨床獣医師だけに限らず、研究などの分野も視野にいれて就職先を考えることをおすすめします。
3.動物医薬品を取り扱う民間企業で働く
動物医薬品メーカーでは、獣医薬医学の知識を持つ獣医師が学術担当者として活躍しているケースがあります。学術担当者は、学術情報の収集と管理のほか、顧客に対する学術情報の提供などを行います。動物の治療を支える動物医薬品メーカーの学術業務も、動物に直接触れることはないためアレルギーの心配はありませんが、動物の健康を支える重要な仕事だといえます。
4.エキゾチックアニマル専門病院で働く
エキゾチックアニマル専門病院とは、犬と猫以外のウサギやフェレット、爬虫類などの動物を診療する動物病院です。犬や猫に対するアレルギーを持っていたとしても、ウサギや爬虫類などに対してはアレルギー症状が起きないケースもあります。
臨床の現場で働きたいという場合は、犬や猫の診療をしないエキゾチックアニマル専門病院で働くことも検討してみるとよいでしょう。
まとめ
アレルギー持ちの人が獣医師として働く際の注意点や勤務先の例をご紹介しました。獣医師の中には、アレルギー持ちであることを自覚した上で、臨床の現場で働く人もいます。しかし、アレルギーの症状は悪化する可能性もあるため、動物病院でアレルギー持ちの方が働く場合は、リスクがあることを理解しておかなければなりません。
また、アレルギー症状は動物と過ごす時間が増えると強くなる可能性があります。初めは特に症状を感じなかった人も、動物病院で勤務をしているうちにアレルギー症状を感じるようになる場合もあるでしょう。
獣医師の資格と知識を活かせる場所は、動物病院以外にもたくさんあります。アレルギー持ちだけれど獣医師として働きたいという方は、研究職や学術職、エキゾチックアニマル専門病院などでの勤務も検討してみることをおすすめします。
この記事の監修者

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。