獣医師の仕事は辛くて大変?やりがいを感じるシーンも紹介

Column

2023年5月22日

獣医師は、動物の命を預かる責任の大きな職業でもあり、仕事をするうえで辛いことも多く、大変なこともあるでしょう。しかし、獣医師は大変さや辛さ以上に大きなやりがいや喜びを感じられる仕事でもあります。
今回は、獣医師として働く際に知っておきたい仕事の大変さややりがい、獣医師として働くにあたって必要な心構えについてご説明します。

獣医師の仕事で辛い・大変なこととは?

獣医師はどのようなことに仕事での辛さや大変さを感じているのでしょうか。獣医師が仕事をするうえで苦労を感じやすいポイントをご紹介します。

患者である動物とは会話ができない
人を対象にした医師と違い、獣医師は言葉を話せない動物の治療を行います。動物は痛みがあっても、痛い箇所や痛さの状態を説明できないため、獣医師は飼い主の話を聞いたり、動物の様子を観察しながら、動物の不調の原因を調べなければなりません。言葉を話せない動物の不調の原因を探りながら治療をすることは、簡単なことではありません。

噛まれてケガをするリスクがある
治療のために動物を抑えようとするときに、動物に噛まれてケガをすることがあります。治してあげたいという想いで動物と向き合っても、その想いが動物に必ず伝わるわけではありません。動物によっては恐怖感から必死に抵抗するケースがあり、特に大型の動物の場合は力も強く、大きなケガにつながるリスクも高くなります。

最期に直面するケースがある
どんなに手を尽くしても、治療の甲斐なく、動物が命を落としてしまうこともあります。治療に携わった動物の死は精神的に辛いものです。また、大切なペットを失った飼い主と向き合わなければならないときも、非常に辛い時間となるでしょう。

飼い主と信頼関係を築けない場合がある
飼い主にもさまざまな人がいます。場合によっては治療法や治療費を巡ってトラブルになるケースもあり、飼い主との関係性に辛さを感じることもあります。

忙しさによる精神的・肉体的な辛さがある
診療時間の終わり間際に急患が入ったり、患者が殺到したりするときもあり、動物病院勤務の獣医師は時間外診療に追われるケースも少なくありません。また、獣医師の数と比べて患者数が多い場合には、休憩をとるのも難しい場合があるでしょう。仕事のハードさが精神的・肉体的な負担となり、獣医師としての仕事に辛さや大変さを感じることも多くあります。

獣医師のやりがいや仕事の楽しさとは?

大変なことや辛いこともある獣医師の仕事ですが、もちろん、それらを上回るほどのやりがいや楽しさを感じるシーンも多くあるでしょう。

治療によって動物を救えたときのやりがい
治療が功を奏し、動物が元気になったときは獣医師として大きなやりがいを感じる瞬間になるでしょう。治療をしなければ、治療法が適していなければ、動物の命を救えないこともあります。治療に携わった動物が元気になった姿を見たときほど喜びを噛みしめる瞬間はないのではないでしょうか。

飼い主からの感謝の言葉
動物が元気になり、ペットを家族のように可愛がる飼い主から感謝の言葉をもらえたときも、獣医師冥利に尽きる瞬間でしょう。飼い主の安堵した顔を見たときには、うれしさと同時に獣医師の仕事に対する誇りを感じられるのではないでしょうか。

日々動物と触れ合える
獣医師は、動物が好きだからこそ獣医師という職を選んだ方がほとんどです。好きな動物たちに日々触れられる仕事こそ、やりがいを感じるものでしょう。

大学で学んだ専門的な知識を活かせる
大学で学んだ知識をそのまま社会で活かせる人は決して多くはありませんが、獣医師は大学で学んだ知識を存分に活かせる仕事です。学びを活かし、さらに新たな知識を身に付けながら、専門性を活かした仕事をできる点も獣医師としてのやりがいを感じる点でしょう。

獣医師として働くために必要な心構え

獣医師には、辛いことや大変なこともありますが、それを乗り越え、獣医師として充実した時間を過ごすためには、次のような心構えが必要です。

動物が好きという気持ちを忘れない
獣医師の診療対象は、動物です。日々、動物と接する仕事である以上、動物が好きという気持ちを失ってしまうと、仕事をするうで辛い気持ちの方が勝ってしまう可能性があります。

冷静な判断力
動物は、具合の悪さや痛いところなどを言葉で表すことができません。適切な治療を行うためには、動物の様子や検査の結果を冷静に判断する力も必要となります。

向上心と勉強への意欲
日々、動物医療に関する研究は続けられており、新たな治療技術も開発されています。そのため、獣医師の資格を取得してからも新しい情報を身に付けるために勉強を続けなければなりません。資格を取得しても尚、よりよい治療を提供するために新たな知識を身に付ける意欲が獣医師には求められるのです。

まとめ

獣医師は、資格取得後も継続して勉強しなければならず、ハードな仕事でもあるため、動物が好きでなければ続けられない仕事です。言葉を話せない動物の命を預かる獣医師の仕事には、辛いことも大変なこともたくさんあります。しかし、動物の命を救う仕事は獣医師でなければできない仕事であり、治療の末に動物が元気を取り戻したときや飼い主から感謝の言葉を伝えられたときは、大きなやりがいを感じることでしょう。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。