獣医師の国家資格合格は難しい?難易度やスケジュールを紹介

Column

2024年11月1日

獣医師を目指すのであれば避けては通れないのが、獣医師国家資格試験に合格することです。獣医師の国家試験はどのくらい難しいのでしょうか。
今回は、獣医師の国家試験の難易度やスケジュールについて解説します。

第76回獣医師国家試験の受験手続きが公開

農林水産省のホームページで第76回となる獣医師国家試験の情報が公開されました。
今年度の獣医師国家試験の提出書類の受付期間は、令和6年12月18日(水)~令和7年1月10日(金)までです。
また、試験は令和7年2月12日(水)と2月13日(木)の2日間で実施され、3月12日(水)に合格者が発表されます。

獣医師の国家資格の合格率はどれくらい?

農林水産省では、毎年、獣医師国家試験の結果を発表しています。2023年度の試験の合格率は72.7%です。過去5年間の合格率を見ると、2022年度は69.9%と低い合格率になっていますが、2018~2021年度の合格率は80%を超えています。

参照:農林水産省「第75回獣医師国家試験の結果(過去5年間及び大学別)」
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/attach/pdf/240313-5.pdf

一般的な医師の合格率と比較
獣医師と医師の国家試験はどちらが難しいのかと比べられるケースがあります。出題範囲が異なるために一概にどちらの試験の方が難しいということはできないでしょう。厚生労働省によると、医師国家試験の2023年度の合格率は92.4%となっています。合格率だけを比較すれば、医師よりも獣医師の国家資格の方が合格率は低いことが分かります。

参照:厚生労働省「第118回医師国家試験の合格発表について」
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2024/siken01/about.html

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獣医師の国家試験が難しいと言われている理由

    ・国家試験の出題範囲が広い
    ・国家試験の勉強期間が3ヶ月程度しかない
    ・他の国家試験に比べて問題集が少ない

獣医師には、幅広い分野の知識が求められるため、当然、国家試験の問題も多分野にわたるものとなっています。
また、獣医学部では国家試験の数ヶ月前に卒業論文発表会が実施されます。そのため、獣医学部の学生は、短い期間で多分野から問題が出題される国家試験の合格を目指さなければならないのです。
獣医師の国家資格取得が難しいと言われる理由について詳しくご説明します。

1.国家試験の出題範囲が広い
獣医師国家試験の問題は獣医倫理や動物福祉に関するものから、関係法規に関するもの、薬理作用や検査診断に関するもの、公衆衛生や食品衛生に関するもの、感染症や中毒、各器官の疾患に関するものなど、非常に広い範囲から出題されます。
幅広い知識が必要になる点は、獣医師の国家試験の難易度の高さを示していると言えるでしょう。

2.国家試験の勉強期間が3カ月程度しかない
国家試験は毎年2月に実施されます。獣医師の国家試験の受験資格は、大学で獣医学を修めて卒業した者または卒業が見込まれる者となります。
大学を卒業するためには、卒業論文を完成させなければなりません。
多くの大学では、卒業論文の発表と審査が10月から11月に行われており、卒業論文発表後からでないと国家試験に向けた勉強に時間を割けないという現実があります。
国家試験が2月であるため、勉強に費やせる時間は3ヶ月程度しかないのです。短期間に膨大な出題範囲の勉強をしなければならないことも、獣医師国家試験の難しさにつながっていると考えられます。

3.他の国家試験に比べて問題集が少ない
獣医師国家試験は、医師や看護師、歯科医師などの国家試験と比べて、発行されている国家試験対策の問題集が少ないと言えます。獣医師の国家試験対策用の問題集が少ないことも、勉強のしにくさにつながっています。

獣医師の国家試験|内容・スケジュール・費用など

難易度の高い獣医師国家試験に合格するためには、獣医師国家試験の出題内容や合格基準などを事前に確認しておくことが大切です。
また、第76回の獣医師国家試験の試験日も発表されました。出題内容や問題構成、合格基準、試験日、試験会場などをご紹介しますので、スケジュールに合わせて試験日まで準備を進めるようにしましょう。

出題内容や問題構成
獣医師の国家試験の出題は、「獣医療の基本的事項」「獣医学の基本的事項」「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」の4つのカテゴリに分けられています。
4つのカテゴリの中から出題される必須問題が50問、学説試験A・学説問題Bがそれぞれ80問、「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」の中から出題される実地試験C・Dが60問、合計330問を2日に渡って受験するようになります。

合格に必要な基準
必須問題の正答率が70%以上、学説試験A・B、実地試験C・Dの合計正答率が60%以上であることが合格基準となっています。ただし、受験する年によって基準が変わる可能性もあります。

試験日や場所
第76回の獣医師国家試験は、以下の日程と会場で実施されます。

<試験日>
・令和7年2月12日(水曜日) 10:00~17:20
・令和7年2月13日(木曜日) 10:00~15:30

<試験会場>

<受験費用>
受験手数料は13,900円です。(2024年度の場合)
受験手数料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼付して納付します。

<合格発表日>
令和7年3月12日(水曜日)午前10時に農林水産省ホームページの報道発表資料のページに、試験合格者の受験番号が掲載されます。

農林水産省報道発表資料ページ:https://www.maff.go.jp/j/press/index.html

獣医師の国家試験に合格するためのコツ

    ・過去問に繰り返し取り組む
    ・計画を立てて勉強する
    ・体調管理を怠らない

獣医学部で学ぶ範囲は、非常に広いものです。また、5、6年生になると就職活動に加え、卒業論文の執筆も始まり、獣医学部の学生は忙しい毎日を送ることになります。そのような状況で獣医師国家試験に合格するためには、限られた時間を有効に使い、効率的に勉強を進めなければなりません。
獣医師国家試験に向けの勉強では次の3つのポイントを意識するようにしましょう。


1.過去問に繰り返し取り組む
過去問は、出題の傾向を知るうえで非常に重要です。特に、獣医師国家試験は問題集が少ないため、過去問を繰り返し解いて、必要な知識を体系的に理解するようにしましょう。

2.計画を立てて勉強をする
前述したように、獣医師国家試験の出題範囲は広く、勉強できる期間が限られています。初めにしっかりと計画を立てて勉強をしないと、試験日までに勉強が終わらなくなってしまいます。

3.体調管理を怠らない
体調を崩してしまうと、勉強も予定通りに進まなくなります。勉強に集中することも大切ですが、睡眠不足になったり、食生活が乱れると体調を崩す可能性があります。体調管理も怠らないように注意しましょう。

獣医師の国家試験に不合格だとどうなる?

獣医師の国家試験に合格できなければ、獣医師と働くことはできません。不合格だった場合には、翌年の国家試験の合格を目指すか、獣医師としての仕事を諦めて別の職種に就くことになります。

不合格にならないよう国家試験対策を欠かさずに
獣医師の国家試験の合格率は、例年は80%超となっています。しかし2022年度のように合格率が69.9%まで落ちる可能性もあります。
限られた時間の中で広い範囲を勉強しなければならないため、国家試験合格のための勉強は非常に大変です。試験に合格できなければ6年間大学で学んだことを活かし、獣医師としての仕事に就くことができないのです。
合格を目指し、しっかりと計画を立てて体調を管理しながら、試験対策を欠かさないようにしましょう。

まとめ

獣医師国家試験の難易度や2024年度の試験スケジュールなどについてご紹介しました。2023年度の獣医師国家試験の合格率は72.7%、2022年度の合格率は69.9%です。2021年度以前の合格率が、例年80%以上になっていることと比較すると獣医師国家試験の難易度が高まっていると考えることもできます。
獣医師国家試験の出題範囲は広く、限られた時間の中での勉強は決して簡単ではありませんが、獣医師試験に合格しなければ獣医師として働くことができません。大学で学んだことを活かし、獣医師としての仕事に就くためにも、しっかり体調を管理しながら、計画的に国家試験の準備を進めるようにしましょう。
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この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。