獣医師になるにはどんな勉強が必要?大学は?

Column

2024年7月18日

動物が好きな方の中には、将来、動物のお医者さんである獣医師になりたいと考えている方もいるでしょう。では、獣医師になるには、どのような学校に進学し、どのような勉強をすればよいのでしょうか。
今回は、獣医師を目指す方法についてご説明します。

獣医師になるまでの流れとは


獣医師になるための一般的な流れをご紹介します。

理系に強い普通科高校へ進学
獣医師になるには、獣医学部や獣医学科等、獣医学を学べる大学に進学する必要があります。獣医学は理系になるため、獣医師を目指すのであれば、理系の教育に力を入れている高校に進学するとよいでしょう。

獣医学部・獣医学科のある大学へ進学
獣医師になるには6年間、大学で獣医学を学ぶ必要があります。現在(2022年)、日本には17の大学に獣医学部が設置されています。

獣医師国家試験を受け、獣医師免許を取得する
大学を卒業しただけでは、獣医師にはなれません。獣医師は国家資格であり、獣医師になるには大学で学んだ後、国家試験を受験して獣医師免許を取得しなければならないのです。

専門学校では国家試験を受けられない?
獣医師の国家試験の受験資格は、大学で獣医学を学び、大学を卒業した人、または卒業見込みの人に限られます。したがって、専門学校を卒業しても、獣医師の国家試験の受験資格は得られません。

獣医師になるにはどのような勉強をすればよい?

獣医師になるためには、まず、獣医学を学べる大学に入らなければなりません。獣医学部に入学するためにはどのような勉強が必要なのでしょうか。

理系科目と外国語を中心に勉強をする
国公立大学を目指す場合には、共通テストがあるために全教科の勉強が必要です。獣医学部は合格に必要な偏差値が高い傾向にありますので、どの教科でも得点できるように対策が必要です。
二次試験は、数学、理科、外国語の3教科を課す傾向にあります。また、私立大学の場合も、数学、理科、外国語の試験を課すところが多いでしょう。
理系科目や英語の対策は必須ですが、大学ごとで傾向が異なります。志望大学の獣医学部の出題傾向に合わせた対策が必要です。

動物に関する勉強は不要だが、諸論文・面接対策が必要な場合も
動物に関する知識は、大学に入学してから学ぶため、高校時代から動物に関連する知識を身に付ける必要はありません。ただし、大学によっては獣医学に関連する課題の小論文が出題される例もあります。また、推薦入試を受ける場合も面接で動物実験や動物の感染症などについての質問がなされるケースもあります。
動物に関連する勉強は不要ですが、試験科目を確認し、必要に応じて小論文や面接の対策をしておくとよいでしょう 。

獣医師になるために必要な学費や偏差値の目安

獣医師を目指し、大学に入学するにあたって目安にしたい偏差値や学費についてご説明します。

偏差値の目安は55〜68
獣医関連学部の偏差値の目安は、55~68程度です。国公立大学の方が偏差値は高い傾向にあり、国公立大学を目指すのであれば60以上の偏差値が必要です。 また、獣医学部を設置する大学は少ないものの、獣医師を志望する学生は多いため、獣医関連学部の倍率は全体的に高くなっています。

学費は国公立・私立で大きく異なる
国立大学や公立大学の場合は、学部によって入学金や学費が変わることはありません。また、国公立大学は国や地方自治体が運営元となっているため、運営費の一部に税金が充当されています。そのため、国公立大学の場合の学費は比較的安く抑えられます。しかしながら、獣医関連学部は6年制であり、4年制の学部と比べると国公立大学であっても学費の負担は大きくなります。
また、私立大学の場合、学費は非常に高額になり、6年間の学費の総計は1,000万円超となります。獣医師を目指すのであれば、学費の面も考えることが大切です。

社会人から獣医師になるには?

社会人であっても、獣医師になるには国家試験に合格する必要があり、国家試験を受験するためには6年間、大学で獣医学を学ばなければなりません。社会人が獣医師国家試験の受験資格を得る方法には、次の2つの方法があります。

一般入試で大学受験をする
一つは、一般入試で獣医関連学部を受験し、大学に入学する方法です。獣医関連学部に夜間大学はないため、社会人の場合は会社を退職して、大学に通う必要があります。

学士編入学制度を利用する
一部の大学では、4年制大学の卒業者を対象とした学士入学制度を用意しているケースがあります。学士編入試験を受け、合格した場合は2年次または3年次に編入できるため、大学に通う期間を短縮することができます。

獣医師に求められる能力や適性


獣医師にはどのような能力が必要であり、どのような性格、思考の人が獣医師に向いているのでしょうか。獣医師に求められる能力や適性についてご説明します。

動物が好き・動物に興味がある
獣医師は、どのような就職先に進んだとしても、動物に関連した業務に就くことになります。動物が好きな人や動物に興味がある人でなければ、獣医師には向いていないでしょう。

観察力や判断力、コミュニケーション能力に優れている
動物は言葉を話せません。そのため、動物の様子を根気強く観察し、状況や病状を見極める力が求められます。また、言葉が話せない動物の代わりに飼い主様や飼育員などから状況を細かくヒアリングしたり、治療方針や治療後の状況などについても分かりやすく説明するコミュニケーション能力も大切になります。

資格取得後も学びを続ける向上心がある
動物用医薬品や医療機器も日々進歩を続けています。また、新たな感染症が流行することもあり、獣医師は常に新しい情報を取り入れ、新しい知識や治療技術を身に付ける必要があります。大学を卒業したら学びを止めるのではなく、仕事をしながらも常に新しいことを学び続けていく姿勢を維持することも獣医師に求められる能力の一つです。



まとめ

獣医師になるには、獣医大学に入学し、6年間、獣医学を学び、獣医師国家試験に合格する必要があります。また、獣医学部を設置する大学は全国に17校ありますが、いずれも偏差値・倍率共に高いため、獣医師になるには受験に必要な理系科目や外国語を中心に勉強に励む必要があるでしょう。
獣医師に向いている人は、動物に興味があり、働き始めてからも学びを続けられる探求心を持ち続けられる人です。さらに、言葉を話せない動物の代わりに飼い主などと会話をする機会が多いため、獣医学に関する知識だけでなく、コミュニケーション能力も重要になるでしょう。

この記事の監修者

高野 航平

大学卒業後、一般動物病院にて小動物臨床を経験し、アニコムへ入社。
ペットの病気の早期発見・予防を目標に、記事監修や相談ダイヤルなどの啓発事業に携わる。愛猫 茶太郎と暮らしている。